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Governacne 2月号」で山本が、自民党年金制度調査会長・与党年金制度改革協議会座長の大野功統衆議院議員と誌上で激論。山本の発言部分を掲載します。



THE VOICE 誌上激論! 2004

年金制度改革


自民、公明両党は2003年暮れ、年金制度改革案をまとめた。これを受け政府は、遅くとも2月中旬までに年金改革関連法案を国会に提出する。年金制度に対しては若者を中心に不信感が高まっている。そうした中で示された今回の与党案は不信解消につながる真の改革となったのだろうか。自民、民主両党のエキスパートに聞いた。
  インタビュアー 仮野忠男
 

山本孝史  参議院議員 民主党年金改革PT座長

現行体系を前提にしている限り、年金制度は安定せず、信頼は回復しない

ーー与党の改革案をどう見ていますか。

山本 与党内の議論の進め方に非常に問題がありましたね。その一つは、給付水準が「先にありき」だったことです。与党案は、平均賃金で40年間働いたサラリーマンと専業主婦の家庭をモデルにしていますが、そうした家庭像は今や一般的ではない。これからの女性の働き方、若年層の雇用状況がどうなるのかによって将来受け取る年金額はかなり変わってくる。にもかかわらず与党は50%という数字に拘泥したために年金の将来像がわかりにくくなってしまった。
 もう一つは、その給付水準を前提にして保険料率を出したことですね。事前には「20%だ」「いや16%までだ」など様々な数字が出されていたが、結果は足して2で割ったようになってしまった。もっとも18.35%という数字も、必ずしも上限ではない、ということらしい。こんなことでは国民は50%や18.35%という数字自体を信用しないのではないか。そのうえ与党は、基礎年金の国庫負担の問題も実質的には先送りにしてしまった。
 結局、負担増だけはやって来るが、必ずしも年金制度の安定につながるものではない。とても成功したいい案だとは言えないですね。

ーー改革の名に値しないということですか。

山本 今の年金財政の状況や、年金制度の将来を考えた場合、保険料の引き上げと給付の抑制はやらざるを得ない。その意味からすれば、与党案を「まったくだめだ」と言うつもりはない。しかし、現行体系を前提にしている限り、厚生労働省の言い分の枠内でしかやれない。民主党が「体系自体を変えないと、年金制度は安定しないし、信頼回復もできない」と主張しているのはそのためだ。
 与党案は、先の見通しなしにやっているから、何年かが過ぎて「思ったより少子化が進んだ。経済状況も悪くなった」ということになれば、今回提示した数字も変わってしまうに違いない。そうすると、また数字合わせを繰り返すだけになってしまうと思いますね。

ーー公明党の幹部は「先の総選挙の際に提示した公明党のマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ内容を履行した。我々は勝ったんだと自賛しているようです。自民党と公明党の主張を足して2で割ったようなところがあったのでは?

山本 どちらが勝ったか負けたのか、という判断は私にはできない。しかし、自民・公明両党の妥協策ではないか、という指摘はその通りだと思いますね。公明党がマニフェスト2番目に年金改革の必要性を書き、税制まで踏み込んだ考え方を示したこと自体は評価できますが。
 ただ50%だ、18.35%だというのは厚生年金の話でして、今いちばん問題なのは国民年金の方ですよ。しかし、与党は基礎年金について4割の人が払っていないといった問題や、第3号被保険者の年金問題を先送りにしてしまった。 この点はまったく評価できないですね。

ーー与党側は、年金課税の強化や定率減税の縮減・廃止案を打ち出していますが。

山本 国庫負担を2分の1に引き上げるには2兆7000億円が必要です。その財源をどうするかという時に、公的年金控除の課税見直しをしても2、3000億円にしかならない。そこで出てきたのが定率減税の縮減・廃止案ということです。「定率減税を廃止すれば2兆円を超えるカネが出てくる。国庫負担引き上げの財源としてピッタリ合う」ということなんでしょう。
 しかし、現在の年金体系を前提にして増税するというのではなく、より効率的で正しい税金の使い方をしていく、そういう年金体系を目指していくべきだ、という意味では今回の与党案には賛成できない。

ーー与党の改革案では、世代間の格差是正が不十分ということでしょうか。

山本 その通りですね。今、若い人たちの中には年金不信が根底としてある。正直言って是正は非常に難しいが、やらなければならない。その場合、是正は年金制度だけでやるのではなく、社会保障全体、あるいは税制を含めて是正していくべきです。例えば、高齢者で年金額の多い人については税で負担してもらい、その分を若い世代に戻すとか、相続税や医療、介護のいわゆる「ホテル・コスト」などを見直すとかトータルに考えて世代間の格差を是正していくべきです。

ーー民主党は総選挙の際のマニフェストで「基礎年金の財源には消費税を充て、基礎年金と所得比例部分からなる2階建ての年金制度を4年以内に確立する」と主張しました。
 今回の与党案を見て、結果的に民主党の主張は正しかったということになりますか。

山本 全体として民主党の考え方は今でも正しいと思っています。税に関する絵の描き方が違いますが、スウェーデンの年金制度に、民主党の考えを加えたものなので我々は日本式スウェーデン方式と呼んでいます。スウェーデンの場合、加入者に年金の内容や情報を説明した「オレンジ・レター」という知らせを送っている。これを日本でも是非、取り入れたいですね。

ーー自民党は、税方式だと所得の把握が難しいと批判していますが。

山本 民主党は納税者番号制度の導入を提唱済みです。国民全体が公平、公正に保険料や税金を負担するためには納税者番号が必要だと思っています。徴収を効率化するために保険料と税に関するデータを共有できるよう社会保険庁と国税庁を統合して歳入庁を作るべきですね。そうすれば「年金保険料は払っていないにもかかわらず、生命保険料の控除を受けている人がいっぱいいる」といった事態は防げますよ。
 年金制度はこういうふうにトータルで考えなければだめです。にもかかわらず与党は局地戦をやっている。だから国民は不安を高めるんだと思いますね。

 

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