2月18日(日)号
2月15日(木)、参院厚生労働委員会で、柳沢厚労相と質疑を交わしました。
国会での質問となると、質問前日の午後、質問に関連する各省庁から多くの職員が私の国会事務所に押しかけ、「先生、ご質問のご趣旨は?」と根掘り葉掘り聞いてきます。当方、体調もあって、質問の全文を48時間前までに厚労省に伝えました。したがって柳沢厚労相には、私が何を聞きたいのかを理解したうえで答弁して欲しかったのですが、残念ながら答弁内容は、官僚が用意した作文そのものでした。
中国残留孤児への支援策については、「2月6日にお会いしたのは、孤児だけではなく、残留邦人もおられた。おわびしたと言うが、陳謝したのであって、謝罪したのではない。支援策は、検討会を設置して、その後にまとめる」という内容でした。安倍総理は残留孤児の皆さんを官邸に招き、支援策を約束。残留孤児は「春風が吹いてきたようでした」と喜んでいましたが、柳沢大臣の答弁からは、「安倍総理は嘘つきだった」と言われるだろうと感じました。
在外被爆者への健康管理手当の支給打ち切り問題で、国は最高裁まで争って敗訴した件でも、「違法行政だったと言われるが、厚生官僚は正しいと思って事務を進めてきた。三権分立なのだから、国の行政に不服があれば、裁判所に訴えて欲しい」との趣旨の答弁でした。
私が柳沢大臣に申し上げたかったことは、
1)国民が国や行政を相手に裁判するのは、国等の決定に不服があるからだけれども、最高裁まで争って国が負けたときは、国として謙虚に反省する姿勢が求められるのではないか。
2)「国に不服があるときは訴訟を」では、長い争いになってしまう。そもそも、大臣は行政官庁のトップではあるが、国会議員でもあるのだから、早い時点で政治的解決を目指すべきではないのか。それが、政治主導といわれることではないのか。の2点です。
答弁全体を通じて、柳沢大臣には政治家としてのリーダーシップが感じられませんでした。社会保障制度の充実についても、財政削減しか考えておられませんでした。どちらも、大蔵官僚出身の経歴が反映していると思います。
「産む機械」や「健全」発言によって、72歳だという柳沢厚労相が、社会がどれほど多様化しているかをご存知ないことは判りました。そのうえ、官僚任せで、社会保障費の削減ばかり考えているのでは、少子化社会に向けての効果的な施策はまったく期待できません。やはり、厚労大臣にはふさわしくありません。
◆◇◆ 今週の「がんちゃん日誌」から ◆◇◆
◎ ムコ多糖症U型の治療薬について
18日、朝のテレビ番組で「ムコ多糖症U型(ハンター症候群)」の小児への医薬品提供について、早期承認を求める母親と支援者の声が報道された。この病気は、特定の酵素の先天的欠損によって、細胞や臓器に障害を起こすもので、日本国内での患者数は100〜150名と推定されている。米国での治験に4名の日本人患者も参加し(渡米し、長期に滞在した)、そのデータをもって米国で承認された。
昨年10月末に開催された厚労省の第10回未承認薬使用問題検討会議で取り上げられ、次のような「検討結果」が報告された。
[検討結果]
本剤は、これまで有効な治療法の無かったムコ多糖症U型の諸症状を改善し、さらにその進行も抑制すると考えられる唯一の治療法である。重篤な過敏反応に対する注意を払う必要があるものの、造血幹細胞移植に比してはるかに安全性の高い治療法といえる。また、今回米国で承認された治験データには、日本人患者4名が含まれており、同薬剤の開発に貢献していることも特記すべきことである。日本人患者を含む欧米での臨床試験データをもって承認申請を認め、承認後は長期にわたる製造販売後調査などで可能な限り国内情報を収集することが望ましいと考える。疾患は重篤であるだけでなく、早期の治療開始が予後を大きく左右する可能性があるので、迅速な審査による早期の承認を期待する。
また、製薬企業に対しては、人道的倫理的見地から、審査期間中であっても、治験や学会等の研究組織による治療研究を通じて、国内患者に対する本剤の供給を希望するとともに、研究・治療にあたる医師においては、本剤の治療経過(とくに安全性面)を科学的に分析し学術誌等に報告することが望ましいと考える。
さて、「本剤は唯一の治療法である」「日本人患者4名も治験に参加した」との報告があっても、日本国内での承認まで1年以上もかかるのだろうか。また、製薬企業に錠剤の供給を「希望する」ことで、患者に錠剤が行き渡るのだろうか。
承認に先立って、錠剤を保険適用にして、患者や医師の手元に届けられる仕組みが必要なのではないか。
◎ 万波医師による病気の腎臓移植について
腎臓を提供した(摘出された)患者に不利益が生じたとすれば、その行為は許されない。一方、病気の腎臓を移植された患者が、将来受けるかも知れない不利益について説明を受けていなかったとすれば、その行為も問題視されて当然だろう。記録の有無などの手続き上の問題もあるが、問題の核心は、患者が利益・不利益を理解したうえで特定の医療行為を選択した場合、それが「人体実験」になるのかという点にある。
人工透析を受けている患者らが厚労省あてに3万人の署名を集めて、万波医師を支持したそうだ。
医学の進歩は、これまで考えてもみなかったような新たな問題を私たちに投げかけてくる。
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