(2006年8月11日記)
がん患者ネット「大阪懇談会」のご報告

 2006年8月2日(水曜日)、大阪チャリティ事業開催の機会を利用して、がん患者ネット「大阪懇談会」が、ホテル南海なんばで午後3時30分から開催されました。

 当日は、13の患者団体から30名が参加。山崎文昭・日本がん患者団体協議会理事長の開会挨拶に続いて、大阪府保健医療福祉部健康づくり感染症課・がん生活習慣病グループの佐藤敏彦課長補佐から、「今後のがん対策の進展について」と題して、大阪府のがん対策を説明していただきました。

 以下、その概要を紹介しつつ、がん患者会が今後取り組むべき課題等について報告します。

1)がん予防の推進に関しては、たばこ対策が筆頭に挙げられている。特に、医療機関におけるたばこ対策強化事業を推進し、560病院中351病院(63%)が全館禁煙となった。病院の全館禁煙は、がん患者会が各都道府県で取り組むべき課題だろう。

2)大阪府のがん検診受診率は、全国的には低いので改善が必要だ。特に精検を受けない人が多い。参加者からは、アメリカでは担当者が自宅まで出向いて精検を受けるよう指導しているとの報告があった。
 
都道府県ごとに、受診率や精検受診率等を比較検討しながら、それらの向上につながる施策を検討することも課題だ。

3)がん診療連携拠点病院は大阪府下11か所が指定されている。それらの病院によって「協議会」が設置され、府内の5大学病院もオブザーバー参加している。診療実績の公開が府独自基準として設定され、患者数、手術数、5年生存率等が、大阪府成人病センターのサイトで公開されている。
http://www.mc.pref.osaka.jp/ocr/gankyoten/newkyten2004/index3.htm

 昭和34年の府立成人病センター設置などとともに、このように大阪府が先行している点は評価される。 
  府としては、医療従事者等の病院機能は各病院で把握してもらう(異動が多いので都道府県が直接把握するのは困難)、情報提供体制も拠点病院での専任者の配置等で充実させたいとの方針が示された。

4)がん登録は追跡率が低下している。健康増進法で、がん登録は自治体の事務と定められているにも関わらず、個人情報保護法を理由に協力を拒む自治体がある。また、厚労省が定めた「がん登録基準」は粗いので、大阪府は従前どおりの登録項目で作業を続けるそうだ
 
がん登録は基本法にも明確に盛り込まれなかった課題で、今後、確実な実施を求めることが重要なポイントだ。

5)平成20年4月から、@新たな医療計画(がんなどの疾患に関する医療提供体制を、数値目標を盛り込んで示すこと)、A健康増進計画、B介護保険事業支援計画、C医療費適正化計画が同時にスタートする。その前に、がん対策基本計画を作成することになる。各医療・福祉関係の地域計画が微妙に影響しあうので、幅広く注目しなければならない

6)緩和医療について参加者から、外来ではがん性疼痛を受け付けていないこと、包括払いでは緩和ケアの内容が充実しないことなどが指摘され、府としても充実に取り組んで欲しいとの要望がなされた。

7)島根県から参加された佐藤愛子さん(故佐藤均氏の奥様)から、病院内に患者サロンを設け、患者・家族同士の話し合いの場として成果をあげつつあるとの報告があった。また、乳がん患者への子育て支援策の充実、若い患者を支えるシステム、安心して治療を受けられる体制を望む声などが続いた。

8)最後に大阪府の佐藤補佐から、「患者の皆さんと意見交換できる機会を設けていただき感謝している。がん対策基本法の趣旨に沿って、大阪府のがん対策基本計画策定時には、がん患者の意見が反映されるような仕組みを設けたい」との発言があり、参加者を代表して山崎理事長より「ぜひ、その方向性でお願いしたい」との念押し発言があった。

9)今後、医療行政は国から都道府県に主体が移行する。したがって、各都道府県で、今回の大阪懇談会のような会合の開催が望まれる。あわせて、各種勉強会の開催を各地で検討されたい
 また、地方行政、議会、議員への働きかけも重要になる。島根や高知などでの素晴らしい先例をもつがん患者会もある。全国のがん患者会が同趣旨での要望や要請行動を同時に展開すれば、かなりの社会的、政治的インパクトを与えるのではないだろうか。

 今回の大阪懇談会では、がん患者会の今後の運動展開に多くのヒントを得ることもできた。多くの意見が出されたが、時間の都合で十分ではなかったことが悔やまれる。午後5時過ぎに閉会となった。

 最後に、公務多忙のなか出席いただいた佐藤補佐に再度感謝申し上げます。

以上